林神父様をお迎えして実施された最後の母の会修養会は、道内外からの参加者を迎えて、心こもる神父様のお話や、静かな祈り、和やかな分かち合いで終わる一日となりました。
最後のみ言葉の祭儀の共同祈願には、学院への感謝と娘たちへの想いがあふれる祈りが続き、特別な時となりました。修道院が小野幌教会の司祭館に移った後も、小規模ながら、このような集いができますようにと願ったことでした。
1400人余が来校登録した10月6日のホームカミングデイのために卒業生が願ったのは、ただ二つ、母校に集うこと、ごミサにあずかることだけでした。「アーカイブ」や昔のビデオを用意し、「お久しぶりコーナー」や、数多くの卒業生からのメッセージ展示、図書館では、制服を着用して写真をとるコーナーや寄宿舎見学など職員室や舎監室の先生たちが工夫を凝らして準備しました。
旧職員のシスターたちも9名来校し、修道院は賑やかになりました。 10月6日は快晴で、旧職員、茂仁香会(中高卒業生)、真理茂会(英語専攻科卒業生)白樺会(卒業生の母の会)のメンバーとその家族の方々が朝早くから詰め掛け、茂仁香会や白樺会のミニバザー、旧母の会OGの宮代会グッズ贈呈による山谷の炊き出しや南相馬支援の募金(「札幌聖心閉校後も隣人愛の精神は続きます。」とのメッセージつき)などが賑わいました。。
午前・午後の入れ替え制であったため、2回行われたごミサは、長年生徒や保護者の修養会を担当してくださっている90歳のイエズス会士、前下関労働教育センター所長、林尚志神父様が司式されました。体育館が使えないため、聖堂から3階の各教室にオンライン配信されました。
生徒の先唱、Sr.山崎と茂仁香会2回生(生徒に朗読テープの指導を担当)の第一朗読(フィリピの信徒への手紙1章2~6,8~11節)、生徒の第二朗読(「聖マグダレナ・ソフィア」)、共同祈願は、Sr.宇野と齊藤校長の想いの込もった祈り、茂仁香会一回生と真理茂会会長、副会長の感謝に満ちた内容の祈りがささげられました。福音(ヨハネによる福音15章1~12節ぶどうの木の譬え)は札幌聖心の教育の実りを思わせるものでした。
神父様のお話は、「札幌聖心にはいつも聖霊の風が吹いている。その風によって札幌聖心に現れる風紋は、イエスのみこころにつながる生徒たちの心の芯である。人は生まれ出て、母胎の中のいのちをつないだ臍の緒を切られていのちが始まる。切られた臍の緒のかわりにつながることのできる対象を求めて漂うたくさんの若い魂が目に浮かぶ。人はみなどこかにつながりたい。でもどこへ?この学校では、生徒たちの心の芯がイエスのみこころとつながる教育をしている。この教育を受けた生徒たちは、きっと出逢う人々をイエスの愛のみこころにつなぐように生きるだろう。それが希望である。」と言う内容で、心に響きました。 また生徒の美しい歌声が響いた新旧の校歌や、「創立者に捧げる歌」、“Ave Verum Corpus”、 “May the Sacred Heart of Jesus”他の聖歌が心に沁みて特別な恵みの時となりました。
「なつかしき あの顔この声 秋日和」感動の一日を終えて、後日、保護者や卒業生から届いた言葉には、「ホームカミングデイの一日を終えた娘たちがそれぞれの親に『札幌聖心に通わせてくれてありがとう』と感謝の気持ちを伝えています。中高6年間慈しみ、感謝の心を持つように大切に育ててくださったシスターズ、教職員の皆様に心より感謝いたします。世界中にはばたいていく娘たちが、札幌聖心での日々を胸に、いつまでも心を分かち合う友情を保ち、みこころの愛のスピリットを世界中の人々に届けることができますように。」や、「これまで札幌聖心を守ってくださってありがとうございました。これからも私たちの根っこでいてください。最後の日まで札幌聖心がたくさんの愛で満たされますように。」などがあり、改めて恵みの時に感謝しました。
10月8日(火)、高校3年生の修養会が行われました。山口県下関市からはるばるご来札中の林尚志神父様は、この数十年、高3の秋という不安定な時期に、生徒たちに将来の指針を示してくださっています。今年も卒業を半年後に控えた生徒たちに、他者との違いを宝として、揺るぎない自信を芯に据え、信念をもって生きるべくたくさんのメッセージを寄せてくださいました。 「あなたの息を送ってください。すべてが新たになるように。」講話の節目にくりかえされたこの言葉とメロディーが、いつまでも心に残ります。 互いに寄り添いあえるかけがえのない仲間となった57回生の26名は、人生における最も厳しいルートを自ら選び歩んでいく女性(ひと)として、挑戦を続けながら生きていくことを誓いました。 一人ひとりの持つ命のパレットが、それぞれに美しく輝き続けるよう祈ります。
後期は、「百合の行列」で始まります。どのような環境にあっても、同じように美しく、香高く咲く百合のような心で生きることを願って、ローマに原画のある「感ずべき御母」(Mater Admirabilis)の絵に、百合の花を捧げて祈る行事です。百合の花は、全ての人を神に等しく愛される尊い存在として受け入れる心を表します。今年度が最後となりますが、生徒たちの美しい歌声が響く中、一人ひとりの中に、心の百合がいつまでも清く保たれますようにと祈りました。
その後、個人で、あるいはグループで、半年かけて取り組んだグローバルイシューズのアクションプラン報告会が行われ、様々な問題について考え、解決を目指してそれぞれがアクションプランを策定して、行動した結果を分かち合いました。それぞれが等身大でありながら、ささやかでも地球の問題を解決しようという意気込みで、具体的な数字を示しながら、わかりやすい説明で、行動の成果を分かち合ってくれました。「探究型学習が実行力と結びついてこのように見事な成果につながったことは素晴らしい!」と先生たちも喜び合いました。
~発表内容~
・家庭内食品ロスをゼロに!
・当事者と企業が考えるLGBTQ
・ペーパーレス化と私たちの未来 ~DX・GX推進の波~
・きれいきれい!カンボジア!~カンボジアの子どもの衛生状態を良くしよう~
・保護猫の実態と私たちにできること
・ラッコを守ろう
・自然と共に生きるために〜ヒトは街にクマは森に〜
・ぶんぶんプロジェクト〜蜜蜂と養蜂家の増加を目指して〜
・Be kind to the ocean 〜海洋プラスチックごみ削減のために〜
・みんなちがってみんないい〜絵本で学ぼう多様性〜
・ボランティア活動のすすめ
この夏の韓国体験学習、オーストラリア姉妹校短期留学、国内聖心姉妹校ワークショップSOFIS(東京聖心主催の今回のテーマは「日本にいる難民」で聖心女子大学グローバル共生研究所の協力のもとに行われました。)の参加者の報告がありました。それぞれ充実した内容の発表に、世界が広がり、学びました。同じ姉妹校の生徒との交流から聖心の教育が目指す「振り返りと分かち合い」「相手と向き合う」「共生」、「気づきから生まれる他者のための行動」「よりよく未来を創造する」「平和の担い手として何ができるか」等のポイントがしっかりとらえられていた報告でした。アクション・プランも、「知る」「考える」「行動する」を大切に、聖心の生徒としてどのように具体的な行動に移すか、が考えられていて、とても頼もしく思いました。こうしたメッセージが、報告を聞いていた他の生徒たちの心にも響いていたことが感じられました。今後それが実を結ぶ日がやってくることを確信しています。
また、コロナ禍の影響を大きく被ったこの学年も2024年になって、1月のシアトル姉妹校短期留学を含め、韓国、オーストラリア等での交流の体験をすることが出来たことを感謝します。