新着情報

57回生卒業式と「感謝のつどい」

Category : 活動の軌跡

 2月8日(土)57回生の卒業の日が来ました。前日は、これで最後と全員で、聖堂で、創立者聖マグダレナ・ソフィアの取次を願って祈り、イエスのみこころの愛を伝える使命を果たすと約束しました。韓国やオーストラリア、ニュージーランド、アメリカ等、各地の聖心会からのシスター方の祈りのカードやメールが披露されました。その後卒業アルバムを手に、クラスメートや先生方、シスター方のメッセージとサインを求める生徒たちの姿もこれで見納めとなると感慨深いものがありました。学級日誌の最後のページには「札幌聖心の57回生で本当に良かった」と書いてありました。  

 卒業前夜の寄宿舎では、シスター宇野理事長をはじめ、首都圏や関西から駆け付けたシスター方や、修道院と舎監の先生も一緒に食卓を囲み、6人の寄宿生が、聖歌を歌っておもてなししました。   

 当日は、ベルナルド勝谷司教様をお迎えして、厳かな中にも心温まる卒業式では、コロナ禍と閉校という2つの荒波にもまれながらも、それに翻弄されずに、前向きに取り組んだことを校長の齊藤先生が喜びの内にねぎらい、見事に成長した姿を司教様に祝福していただきました。父の会安藤会長は、隅々に至るまで、教職員、修道院の深い愛に包まれた教育に感謝され、母の会三上会長は、「神はいる、いないでなく、信じることが大切だと知った」という我が子の言葉から、札幌聖心の教育への感謝を語られました。最後に涙ながらに感謝を語った生徒代表の謝辞に涙を誘われました。57回生の歌声はいつも心を打つ美しさですが、最後の「群青」は特別に心に沁みました。札幌聖心の最後の年をその心意気で、明るいものとしてくれた一人ひとりの未来のために祈りました。記念撮影に続き、花束贈呈の間も名残を惜しむ姿が見られました。  

 午後の「感謝のつどい」と呼ぶ閉校式の最初は、勝谷司教様の司式で、札幌聖心を神様の手にお返しする「OBLATIO IN GRATIA (感謝と奉献)の祈り」から始まりました。入祭の前にこれまで、海外聖心姉妹校との交流のために、歴代の生徒たちが一生懸命英語で作ったパワーポイントとビデオの一部を編集したものが新旧校歌にあわせて上映され、この全てをお捧げすることを心に刻みました。以下にその一部をご紹介する司教様のお話に励まされ、生徒や卒業生(一回生新校歌作詞者横山峰子様)、教職職員それぞれの代表の祈りや、生徒たちの聖歌Ave Verum Corpusの歌声に、祈りに裏打ちされた「他者のための行動力」を育てる教育の実りが感じられました。  

 ご来賓の鈴木道知事(代理 佐藤 道総務部学事課長)、道カトリック中高連盟 駒井委員長(札幌光星高校長)が、札幌聖心女子学院のこれまでの教育を良くご理解され、閉校を限りなく惜しんで下さり、道私立中高協会 西岡会長(山の手高校長)も残念な想いを分かち合ってくださいました。函館からの2校をはじめ、北見、旭川、室蘭から 道カトリック中高連盟の各校長がおいでくださり、市内からは校舎を受け継いでくださる北星学園の理事長、常務、女子中高の校長をはじめ、とわの森三愛、創成、北斗、池上学院の各高校長がご出席くださり、校地近隣の公立小中学校各校長や、町内会長など、地域の皆様方もおいでくださいました。  

 聖心関係では、学校法人関係者、大学の学長並びに国内の姉妹校4校の校長が道外から駆け付けました。理事長シスター宇野と齊藤校長が、これまでの札幌聖心の歴史とそれぞれの想いを述べた後で、校旗が返還されました。  

 続く茶話会では、中高の同窓会茂仁香会大八木会長と英語専攻科真理茂会山屋会長のスピーチもあり、和やかな歓談の内に「感謝のつどい」は終わりました。 

勝谷司教様のお話(一部抜粋)  

 神の永遠に身を置き、御子キリストにつながっている人にとって、愛の記憶は人の生命の長さを超えて永遠に保たれ、常に今の私を生かす糧となります。さらに、神とのかかわりの中で一人の個人の記憶を超えて、多くのかかわりの中で意味を変えていくのです。永遠の時の観点に視点を据えたときにはじめて今生きる意味を見出すことができるのです。   

 閉校の時を迎えた今日、多くの人にとって懐かしく楽しい祝福された思い出、希望に胸ふくらませた自分のかつての姿に思いを馳せ、幸せだった時を思い起こしておられることと思います。と同時に、その思い出の詰まった母校がなくなるということを意識させられる辛さも味わっておられるでしょう。わたしたちの「大切な時」の記憶が、残雪のごとく消えてしまうはかない記憶としてではなく、いつの時も私たちを支え励ます生きた思い出として、永遠のアルバムに記録されることを信じ、札幌聖心女子学院とそこに生きた私たちの思い出一つ一つが神のもとで、時を超えて新たなより大きな意味を作り上げていくのだと信じ、思い描いていきましょう。

シスター宇野理事長の挨拶(一部抜粋)  

 この62年間は、社会の変化に伴う模索の日々でもありました。1970年には小学校が募集停止となり、第一回生の卒業と共に設置された2年制の英語専攻科は、1997年には使命を終えて休科となりました。聖心の教育として大切にしなければならないものを確認しつつ、教育刷新を重ねてまいりました。先進的な取り組みであった社会福祉学習。拡大文字、点字、手話、また高等盲学校との交流、病院実習等様々な体験的な学習は、やがて一つの教科として教育課程の中に位置づけられました。相手の立場に立って感じ考えて生きる姿勢を身につける、聖心ならではの大切な教育活動です。       

 長年積み上げてきた英語教育は、着実な英語力はもちろんのこと、海外の聖心との交流や、アジアの国々での体験学習、また文部科学省からの指定を受け「スーパー・イングリッシュ・ランゲージ・ハイスクール」「国際バカロレア教育調査研究」「スーパー・グローバル・ハイスクール」としての教育研究も加わって、広い視野と国際的な興味関心の育成、また対話のうちに共生を育む教育へと発展していきました。近年では、「ミレニアム開発目標MDGs」に続いて「持続可能な開発目標SDGs」の教育に取り組み、グローバルな視点を持つ行動力のある生徒たちの育成に一貫して取り組んでおりました。  

 こうした中で直面することなった閉校という現実は、卒業生にとって、改めて母校の存在意義について思いめぐらす機会となったようです。「札幌聖心は私たちの言葉と行動の中に生きています」「札幌聖心で学んだことは、自分たちが受け継ぎ育んでいきます」と卒業生が口々に語ってくださったことは、わたしにとって大きな慰めでした。「札幌聖心の教育を、ここで途絶えさせてはならない」と考え、この春から大学院で「札幌聖心の教育を、未来につないでいく研究」に取り組もうとしている卒業生もいます。この学び舎は幕を閉じようとしていますが、卒業生一人ひとりの心の中に撒かれた札幌聖心の命の種は成長し、それぞれの生き方を通して息づいていくことを願ってやみません。

齊藤校長の挨拶(一部抜粋)  

 札幌聖心女子学院は、残念ながらその歴史にこれで幕を下ろすこととなりますが、私どもが取り組んで来ました教育の理念や内容については、まずは、聖心の姉妹校が引き継いでくださり、創立者 聖マグダレナ・ソフィア・バラの願いの実現をお祈りします。  

 また、他のカトリックミッションスクールの皆様方には、主イエスの愛の象徴である「誰も置き去りにしない」というみこころのことばを大切にし、今後もご発展くださるようお祈りします。  

 そして、道内の各私立学校、公立学校の皆様方には、現在国全体で取り組んでおります、本校でも力を入れておりました、探究的な学びの充実を図りながら、不確実な未来に対して、恐れずにその一歩を踏み出す生徒を育てていただければ、と僭越ながらお祈りいたしております。  

 札幌聖心女子学院は、本日この感謝のつどいをひとつの区切りとして、その歴史に幕を下ろしますが、本日卒業した最後の第57回生をはじめ、これまでの数多くの卒業生が、これからの未来の中で、主イエスのみこころを伝え、希望の光となって闇を照らしていくものと確信しております。